5cm
沖縄本島方面には台風が来ないまま夏が終わろうとしていた9月半ば過ぎ(2025年)のこと。
そうと気づかぬうちにオタマサが撮っていたテンジクダイの仲間は、地味ながらもこれまで観たことがない種類のようだった。
リーフ際のオーバーハングの暗がりに単独でいたというそのテンジクダイには、目の下から斜めに伸びるハッキリした模様と、背ビレと尾ビレの間に薄らぼんやりした黒い模様が見受けられる。
目の下の模様からして、これがナミダテンジクダイの仲間であろうことは間違いない。
ところが、そこから先がさっぱりわからない。
今のところ和名がつけられているナミダテンジクダイ属の魚は3種類で、画像検索すると釣果の写真ばかりで生前の姿がなかなかわからず、数少ない水中写真を見比べて見ても、ビンゴ!がまったく見当たらない。
ちなみにこれを調べている際に、この2年ほどずっと当コーナーで「ホソスジナミダテンジクダイ」と紹介してきたものが、どうやらナミダテンジクダイっぽい…ということに気がついてしまったため、ナニゴトも無かったかのように名前だけ訂正していたりする。
ホソスジナミダテンジクダイは、目の下の涙模様がその名のとおりもっと細いのだった。
その点からすると、コヤツはナミダテンジクダイかな?というところなのだけど、あいにくナミダテンジクダイとして紹介されている魚たちの画像で、このような色合いになっているものがいない…。
聞くところによると、日本で観られるナミダテンジクダイ属の魚は和名がついている3種だけではないそうで、いわゆるひとつの「ナミダテンジクダイ属の1種」というものもいておかしくないらしい。
顔と体の模様のほか、かろうじて一部だけ尾ビレが写っている別カットを見ると…
…尾ビレの上下端に白いラインがあることがわかる。
以上の特徴を持つ他の種類が存在しているのか、それとも単にナミダテンジクダイがこういう体色になっているだけなのか。
誰も手をつけていなさそうな研究の成果を待とう。