水納島の魚たち

オジロスズメダイ

全長 5cm

 撮影してから1年後にその存在を知ったキオビスズメダイと出会った昨秋(2021年)の同じ日に、同じくリーフ内の浅いところで↓このスズメダイに出会った。

 メガネスズメダイにしては、眼状斑の感じが違って見えるなぁ…

 …で昨秋は終わってしまっていたのだけれど、これまた撮ってから1年経った今、ようやくこれがオジロスズメダイであることを知った。

 オジロスズメダイなんて名前、これまで聞いたこともないけど、またぞろ正式名称漢字20文字の研究室が近年新たに登場させたのだろうか…

 …と思いきや、この名は前世紀に刊行されている図鑑にすら掲載されていたのだった。

 まったくノーマーク…。

 ん?

 そういえばその昔、メガネスズメダイに似ているけど違って見えるなぁ…と思いながら写真を撮ったことがあったような気が。

 すっかり忘れ去っていたその写真は、2008年の秋に撮ったものだった。

 冒頭の写真もそのうちの1枚で、同じ時に同じ場所でおそらく別個体と思われる↓こういうタイプも撮っていた。

 この写真を「メガネスズメダイ」でまとめているグループに入れていなかったところをみると、オトナになっても眼状斑が残るメガネスズメダイとは違うようだ…と考えたのだろう。

 では何スズメダイなのか、というところで、当時(2008年)は結局ビンゴ!にたどり着けず、そのまま宙に浮いて…というか、ハードディスクの海の底に沈んだままになっていたのだった。

 それにしても、キオビスズメダイと言いながらどう見ても帯模様は白にしか見えないかと思えば、オジロスズメダイと言いながらどう見ても尾ビレは黄色にしか見えないってのはどういうこと?

 実はオジロスズメダイの尾ビレの色はずいぶん個体差(もしくは地域差)があるようで、その名のとおりちゃんと尾ビレが白いものもフツーにいるそうだ。

 言われてみると、昨秋出会った若魚の尾ビレは、白といえば白でもあるか…。

 この若魚はリーフ内にいたものの、2008年に撮ったものはたしか、ボートダイビング中にリーフの切れ込みを浅いほうへ侵入していったところで撮った記憶がある。

 ボートダイビングでも浅いところに行けば会えるスズメダイ、ということなのだろうか。

 ただし撮影したのが10月末であることを考え合わせると、彼らは台風でリーフ内から外に吹き飛ばされてしまっただけだったのかもしれない。

 ずっとノーマークだったのも仕方ない…< いいわけ。

 追記(2022年11月)

 今秋(2022年)もビーチエントリーでリーフ内を潜る機会が多く、北風が強めの日でも大丈夫なカモメ岩方面ももちろん潜ってみた。

 すると、いるわいるわ、オジロスズメダイだらけじゃないか…。

 そこらじゅう…といっていいほど。

 これまでだってカモメ岩の浜から潜る機会は過去にも幾度となくあったというのに、なぜにこれまで気がついていなかったのか。

 もちろんいつも目には入っていたのだろう。

 見かけるたびに、おそらく脳内では「いつものアレね…」と思っていたのは間違いない。

 人間四十の坂を越えると、代名詞トークが急激に増えてくるもので、お互いに人生経験が重なってくれば、それで通じてしまうからそれはそれでいいのだけれど、いざ通じないとなった時に、にわかに固有名詞が出てこない…というのはよくある話だ。

 脳内モノローグにおいてもそれは顕著になるらしく、「いつものアレね…」と自分に語っているときの「アレ」も、いざとなると「アレ」がなにやらわからない…

 オジロスズメダイは、どうやらワタシにとってそういう存在だったようだ。

 オジロスズメダイはリーフ内の浅いところにたくさんいるんだろうか…というサーチ目的で潜ってみれば、やたらといるからサーチもへったくれもなかった。

 そこで注目すべきは、そのチビターレ。

 これがオジロスズメダイのビューティチビターレ(と世間で認知されている子)です。

 一見するとメガネスズメダイクロメガネスズメダイのチビターレに似ているけれど、それぞれのチビと比較してみると、メガネスズメダイのチビは頭から背ビレにかけての色がもっと赤っぽいし…

 色味が似ているクロメガネスズメダイのチビは、もっと小さな頃からオレンジの部分にメガネスズメダイチビ同様青いラインが入っている。

 かつて撮った写真がオジロスズメダイであることを撮影後14年経ってようやく知るに至り、なおかつその幼魚がこんなに鮮やかであることを初めて知り、オジロスズメダイのチビターレを是非観てみたい…

 …と思っていたら、エントリーして早々に出会えてしまった。

 この日はこの1匹かぎりだったけど、オトナ同様、これまたフツーにいるんだろうか?

 …という疑問を解決すべく再びリーフ内を潜ってみたところ、ビューティチビターレには1匹も出会えなかったかわりに、地味地味ジミーなチビターレはわりといた。

 先日紹介したビューティチビターレと同じくらいのサイズなのに、こんなに色が異なる。

 というか、↑これならオジロスズメダイのチビターレだと言われればすぐに納得できるけど、ビューティチビターレってホントにオジロスズメダイの幼魚なのだろうか?

 それはそうと、オジロスズメダイの尾が白じゃなくて黄色いのはオトナの色柄なのかと思いきや、こんなに小さい頃から黄色いのですね…

 …って、オトナも子どもも、ホントにオジロスズメダイなんでしょうかね?

 < 今さら?