水納島の魚たち

サラサハゼ

全長 Max20cm(写真は8cmほど)

 リーフの外で出会うこともちょくちょくあるけれど、インリーフで暮らしている個体数のほうが圧倒的に多いサラサハゼ。

 桟橋に停めている当店のボートの下でさえ、フツーに観られるくらいたくさんいる。

 ただしリーフの外には多くはないという事情を差し引いても、サラサハゼの知名度はその個体数の多さに徹底的に反比例している。

 サラサハゼに会うためにビーチで潜る!というヒトにこれまで会ったことはないし、ビーチで潜っておられる方々にとってさえ、サラサハゼはおそらく目の端に留まることすらないエキストラでしかないだろうと思われる。

 サラサハゼの体色は様々で、白い砂底環境だから白っぽく、とか、岩っぽい場所だから濃い目、といったようなこれといった法則はないようで、冒頭の色味の子がいるすぐ近くには、↓こういう濃い色をしているものもいれば…。

 ↓このように随分白っぽいものもいる。

 同じ仲間のキンセンハゼ同様、こうして巣穴の近くでホバリングしていることが多いサラサハゼだけど、着底していることもある。

 ビーチで潜っていると、一呼吸する間に3個体くらいに出会えるほど数多いサラサハゼではあるのだけれど、たいていの場合単独でホバリングしている。

 なのでてっきり1人でいるのが好きなタイプのハゼなのだとばかり思っていたら、ペアでいることもあった。

 ペアといってもどちらも似たような色形で、これといって特徴が無いからどっちがオスなんだか……

 …と思っていたところ、どうやら尾ビレの点の数で雌雄を見分けることができるらしい。

 上の写真でいうなら上側がオスで、下側がメス。

 いったい何がどう違うのかというと、メスの尾ビレには付け根付近のやや上側に黒ポチがひとつだけ。

 それに対しオスは…

 

 メスの黒点の位置にある点は黒かったり色褪せていたりしつつ、他にもう少し小さめの点々が複数ある。

 雌雄いずれでも、そして体色が濃かろうと白っぽかろうと、サラサハゼは体側の帯模様が特徴……

 …と思っていたのだけれど、ある時ビーチで出会った20cm級の特大老成魚はまったく違っていた。

 これは老成魚だからなのだろうか、それとも繁殖にかかわる体色変化なのだろうか(撮影は11月)。

 20cm級の特大サラサはダークダークダークなのに対し、数cmほどのチビターレは真逆の淡さだ。

 ファーストコンタクトがいきなり老成ダークダークダークで、「これがサラサハゼです」なんて言われようものなら、その後目の端エキストラ確定ってところだろうけど、目の端だけで済ませているとちょっともったいないくらいになにげに彩り豊富なサラサハゼ。

 よく観れば顔つきもなんだか可愛らしいし…

 観ていればアクビもしてくれる。

 海水浴中ですら観ることができるくらいだから、一度くらいは目の端から目の真ん中に持ってきてもいいかも??