水納島の魚たち

シロイソハゼ

全長 2cm

 水納島の場合、この系統の色味でフツーに観られるイソハゼとしては、アカホシイソハゼとほぼ同じくらいお馴染みの存在だ。

 もっとも、どちらも同じような場所で観られるので、ことさらイソハゼ類に注目してファインダー越しに観ているわけではないことの方が多いから、両者のどちらかだろう…と勝手に思い込んでいるだけかもしれないけど。

 それでも、朧な記憶を振り返ってみるかぎりでは、シロイソハゼがアカホシイソハゼのようにひと目でよそ行きとわかる衣装に身を包んで興奮モードになっている様子は観たことがない。

 リーフ際など浅いところで他の魚に注目しているときにチョロチョロしている子は、興奮モードというよりも逃げ腰モードになっていることのほうが多いイメージだ。

 小さなイソハゼのサイズにピッタリの穴がちゃんとサンゴに開いているというのも、自然はうまいことできているなぁ…てなもので、アカホシイソハゼをはじめ、他のイソハゼたちもこのように隠れ家から出入りすることはあるにせよ、シロイソハゼでよく観るような気がする。

 他の魚が多いところで見かけることが多いから、不気味に近づくダイバーというとばっちりから逃げてばかりいるからだろうか。

 冒頭の写真はどうやらオスで、メスは↓こんな感じ。

 お腹がポコッとなっているのはきっと卵だろう……だからメス、と勝手に推測しているだけだけど。

 イソハゼ類はどうやらオスが巣穴にメスを誘引して産卵に至る、という繁殖行動をするらしいから、巣穴はとても大切な繁殖ツール(?)なわけで、単に逃げ隠れするためだけにあるわけではないらしい。

 となると、興奮モードになっているオスに注目していれば、そのような産卵行動が観られるかもしれないということか。

 ただし、肝心のシロイソハゼ・オスの興奮モードがよくわからない。

 冒頭の写真とか↓これが婚姻色なんでしょうかね?

 昔からごくごくフツーに会えている魚だというのに、興奮モードの色や彼らの恋のお時間のことなど、彼らの暮らしについてなんにも知らないままでいたことに我ながらビックリした。

 クラシカルアイにムチ打って、イソハゼたちにも注目してみることにしよう…。