全長 2cm
場所によってはごく浅いところから姿が見られるというソメワケイソハゼなのに、水納島では浅いところでお目にかかったためしはない。
好みの住処となるサンゴの有無のモンダイなんだろうか。
浅いところでは観られないけれど、崖状になっているところの最深部にポツンと生えているサンゴでは、いつ行っても多数のソメワケイソハゼが集まっている。
イソハゼの仲間で集まるタイプは多くないし、ましてやそれらがホバリングしている様子などそうそう観られないから、「おっ?」となってそぉっと近寄ってみる。
しかし。
ソメワケイソハゼたちは、すぐさま危険を察知して、サンゴの枝間や裏側に逃げ隠れてしまう。
それが水深ヒト桁メートルの浅いところだったなら、再びみんなが出てきてくれるまで、ボンカレーが10個作れるくらいジッと我慢の子でいられるけれど、水深40mとなるとそうもいかない。
そのためホバリングしているところすらなかなか撮れず、たくさんいるのに次々にフラれたあげく、冒頭の写真くらいしか撮れずに終わる。
ソメワケイソハゼがいつもたくさん集まっているのは、↓このサンゴ。
節々がやけに長いタイプのテーブルサンゴ(ツツミドリイシでしたっけ?)で、このサンゴが多数作り出す隙間が、ソメワケイソハゼにとってちょうどいい隠れ家になるらしい。
このサンゴがもっと浅いところで生育していれば、ソメワケイソハゼももっと浅いところでフツーに観られるのだろうか。
※追記(2025年7月)
本文中で紹介しているとおり水納島周辺の海では、暗めの深場、ドロップオフ環境の底あたりでしか会えないソメワケイソハゼ。
ところが今夏(2025年)、思いがけない場所でソメワケイソハゼに出会ってしまった。
なんと水深25mほどの砂地の根に!
水納島周辺だと、ドロップオフ環境の底あたりでしか見られないと思っていたツツミドリイシ(?)が育っていたので、こんなところにこの種類のサンゴが?と注意を向けた自分を褒めてあげたい。
そのサンゴの枝上に…
ソメワケイソハゼはサンゴの枝間で暮らしているので、↑このようにサンゴにチョコンと佇んでいることもあるけれど、もともとホバリングが好きなタイプのハゼなので、周囲に危険を感じていないときには、しょっちゅうサンゴの枝上でホイホイと楽しげにホバリングしている。
そういう様子を観ていられたのも、水深がこの程度のおかげ。
でも楽しげには見えても、本来なら多数が同じサンゴ群落で暮らしている種類だけに、ひとりぼっちじゃさぞかし寂しかろうなぁ…
…と思いきや、ここには他にもう1匹いた。
その後何度か訪れてみたところ、合計3匹のソメワケイソハゼがいるようだ。
仲がいいのか悪いのか不明ながら、3匹と言わずさらに増えてもまだまだ余裕で暮らせそうなサンゴのサイズではある。
ただ、そのサンゴが紫色のカイメンにやられてけっこう傷んでいて、このまま健やかに成長していくように見えないところに一抹の不安が…。