水納島の魚たち

スジブチスズメダイ

全長 7cm

 基本色は地味ながら、かなり目立つ白い模様があるので遠めからでもけっこう目立つ。

 にもかかわらず、このスズメダイを海中で認識したことがある方は少ないかもしれない。

 殊に、ダイビングといえば近頃は水納島でのボートダイビングばかり……という方なら、姿を見たことも名前を聞いたこともないのも無理はない。

 このスジブチスズメダイは、ボートダイビングで出かけるようなリーフの外には暮らしていないからだ。

 リーフの中、それも水深1mほどのごくごく浅いところにある岩場で、スジブチスズメダイは地味に暮らしている。

 付着藻類や動物プランクトンを食べるそうながら、同じようなところに暮らす藻食嗜好が強いクロソラスズメダイからさほど撃退されていないところを見ると、食べ物的にはけっこう住み分けているのかもしれない。

 スジブチスズメダイは、こう見えてルリスズメダイの仲間だ。

 そう言われると意外な気がするけれど、同種同士で砂を巻き上げながら戦っているケンカッ早いところなど↓は、なるほど、気が強いルリスズメダイの仲間という雰囲気。

 ケンカッ早いオトナたちが暮らしている同じところで、チビターレも観られる。

 背ビレ付近の眼状斑は、チビターレの印だ。

 この子よりもさらに小さなチビチビもいて、よりいっそう眼状斑が目立って可愛い。

 水納ビーチなら左手奥の突堤の土台付近を住処にしているから、会おうと思えばいつでも会えるスジブチスズメダイ(パッチ状に点在するサンゴ根の陰にもチラホラいます)。

 とはいえボートで海に繰り出せる状況にあるかぎり、なかなか「会おうと思う」ことがない。

 港の工事が予定どおり行われれば、スジブチスズメダイが暮らす突堤は取り払われることになるから、「ビーチでいつでも会える」のは実は期間限定ということになる。

 ひょっとすると、今年(2019年)がラストチャンスになるかもしれない。

 追記(2019年12月)

 件の工事は案の定立ち消えになったのか、測量工事が行われた後、話は何の進展も見せてはいない。

 スジブチスズメダイたちも、ホッと胸を撫で下ろしていることだろう。