5cm
潮間帯あたりで暮らすギンポたちの恋模様見たさに、干潮時にひと坪ほどのタイドプールで世界一安全なスノーケリングをしていたときのこと。
ひと坪ほどのなかにある豪華な浴槽ほどのサイズの深み(といっても水深70cmほど)の岩陰に、テンジクダイの仲間の姿があった。
カモメ岩の浜からエントリー&エキジットをするときなど、波打ち際の岩陰でよく観る種類に違いない。
↑11月に撮ったこの写真などは干潮時の波打ち際で、膝下30cm程度の水深でしかないのに、その年生まれらしい若魚たちが多数集まっていた。
春先のひと坪タイドプールでは、時期だからオスは口の中で卵をケアしていた。
周辺にはメスらしきものもいるようで、タイドプールに取り残されたというよりは、卵ケア中ということで能動的にここにいるっぽい。
普段であればオスの口の中の卵を見せてもらうまでジッと我慢の子になるところながら、なにぶんスノーケルの先が水面まで届かないから、卵をフガフガしてくれるまで5分近く息こらえしていたら、世界一安全なスノーケリングで溺れ死んでしまうかもしれない。
前年の秋に波打ち際でエキジット直前に出会った際には撮っただけで終ってしまったから、この際名前を調べてみたところ、特徴的な体の模様のおかげですぐに正体が判明した。
その名もスジイシモチ。
特徴的な体の模様といいつつ、似たような種類がたくさんいるんだけれど、尾柄部の黒点のほか、眼から後方に伸びている黒線が体の真ん中付近で途切れるのも特徴のひとつだそうだ。
水納島ではまずインリーフ、それも相当浅いところを暮らしの場にしているからボートダイビングではまずお目にかかれないため、ごくごくフツーに観られるテンジクダイの仲間でありながら、これまでまったく馴染みがなかった。
スジイシモチなんていう名前はまったく初耳だったので、またぞろ近年登場した「新称」かな…
…と思いきや、お馴染みのキンセンイシモチをはじめ、アオスジテンジクダイやクロホシイシモチなど、有名どころが所属している「スジイシモチ属」の模式種でもある最古参メンバーだった。
そんな重要ポジションにあり続けているにもかかわらず、今頃認識することになってしまってどーもすみません、スジイシモチ…。