水納島の魚たち

ナメラヤッコ
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コガネヤッコ

全長 8cm

 リーフ際のオーバーハングに、一見して変に見えるヤッコがいた。

 ナメラヤッコのように見えるけれど、体が黄色く、目やエラ蓋などに青いラインが入っている。

 体後半部の黒い部分の中途半端さからして、これは交雑個体に間違いない。

 ナメラヤッコが片方の親というのはわかりやすいにしても、じゃあもう一方の親は??

 黄色くて目の周りに青いラインがあるアブラヤッコ属の魚といえば………

 コガネヤッコ!?

 ヘラルドコガネヤッコの稿で述べているように、沖縄ではコガネヤッコはきわめてレアな存在だ。

 ワタシ自身、一度も観たことはない。

 それなのにいきなりハイブリッドの登場ってのも、いささかおかしな話に聞こえるかもしれない。

 でもこの子の両親の生息地は、沖縄とは限らない。遥か遠方から海流に乗って、卵か仔魚のうちにたまたま水納島まで流れ着いてくれたのだろう。

 随分前に見つけて以来、かなり長い間同じ場所に居続けてくれたこのハイブリッド君。

 5〜6年はいてくれたろうか。

 ところが昨年(2011年)になって、ついにその消息を絶ってしまった。

 もちろん次の機会は約束されてはいない。

 一生に1匹出会えたらラッキーな魚…だったのかもしれない。