水納島の魚たち

サンゴウツボ

全長 40cm(?)

 このウツボ類コーナーをリニューアルするにあたり、これまで撮ったウツボ類の写真を見ていたときに、見慣れぬウツボが写っている写真があることに気づいた。

 それが冒頭の写真。

 1年半前(2019年正月現在)に撮ったものなのに今頃気づくくらいだから、実際に海で撮っている最中には、「見慣れぬ」と思ったかどうかも今となっては定かではない…いや、思わなかったのだろうなぁ。

 その証拠に、この前後の別カットが1枚もない。

 写真1枚ごとにわかる撮影日時からすると、その時のダイビング終了間際に撮った最後の1枚で、岩場のポイントの船の下くらいの浅いところのようだ(なにしろ記憶にない)。

 マクロレンズでフツーに撮っているくらいだから、ウツボ自体のサイズはわりと小さかったのだろう。

 写真のウツボの顔の近くにあるホヤはかなり小さいものだから、せいぜいヒトの親指くらい太さだったろうと思われる。

 おそらく撮影時は、「ドクウツボのチビ?」と思ったのかどうなのか、特にこだわることなくテキトーに1枚だけ撮って終わってしまったに違いない。

 ネットで調べてみたところ、このウツボはどうやら サンゴウツボと呼ばれているものらしい。

 出会う機会は随分少ないらしく、綺羅星のごとくネット上で観られるウツボ類の写真の中でも、サンゴウツボを海中で写したものは極めて少ない。

 サンゴウツボ、なにげにけっこうレアらしい。

 そんなレアな出会いであるなどとは夢にも思わず、たった1枚だけ撮って終わってしまった2017年8月30日午後3時31分のワタシ…。

 ああ、千載一遇のチャンスだったかもしれないのに!!

 かろうじて1枚撮っていたからよかったけれど、下手をすると出会っていたことすら記憶に残っていないところだった。

 今後そのようなことがないよう、今のうちにサンゴウツボの特徴を把握しておこう。

 サンゴウツボは老若で体の色味が変わるようながら、最大の特徴はその目にある。

 これまでウツボ類の黒目の周りの色について何度か見比べてきたように、このサンゴウツボの場合も黒目の周りがポイントだ。

 サンゴウツボの黒目の周りは…

 赤(っぽ)い。

 これはどうやらこの種類を特定できる手掛かりの一つのようで、顔しか外に出ていないケースが多いウツボ類にあっては、非常に役に立つチェックポイントだ。

 これでもう、二度とチャンスをフイにすることはあるまい。

 ……って、それ以前に二度と出会えないかも?