写真・文/植田正恵

200回.離島土産物考
月刊アクアネット2020年1月号

 毎年冬には、帰省を兼ねてどこかへ旅行することにしている。

 その年の売り上げに左右される行き先は、ここのところ国内の海辺の観光地であることが多い。

 そこで水納島では味わえない海幸を楽しみつつ、観光地としての実情はどのようなものか、そこで人々はどのようにがんばっているのか、一旅行者として体験するというれっきとした視察研修である。

 そんな研修先(?)で気になるもののひとつが、各地の「お土産」だ。  

 旅行先がかなり有名どころであれば、どれにするか決めるのが大変なくらい様々なお土産がラインナップされている。

 それがちょっと鄙びたところになると、かなり限定されてしまうことが多い。

 市場には出回らないご当地ならではの特産品はかなり魅力的ながら、賞味期限が2日ほどのナマモノとか巨大な果物になると持ち帰るのが大変で、家に帰るまでまだしばらく日数を要する離島民には、お土産としては無理がある。

 それやこれやを考え合わせると、他では手に入りにくいその地域独特のもので、なおかつ食べ物なら日持ちがするもの、そして何であれかさばらなくて軽いものがいい。  

 15年ほど前、水納島の特産品をつくろう!という企画があって、島の農産物で何かできないか、という話し合いが婦人部でもたれたことがある。

 そのときに出た案のひとつが、「干し大根」だった。

 そのとき私は即座に、

 「たしかに水納島では干し大根を作っているし、軽くて日持ちもするけれど、水納島に来る観光客が求めているものではまったくないと思う」

 と言ってしまいそうになったものだった(立場上言えないこともいろいろある)。

 さほど旅行に興味がない方々は、お土産としての特産品のイメージがどうも私とは違うようだ。幸か不幸か干し大根案は立ち消えになり(本当に作っていたらどうなったのか、それはそれで面白そうだけど)、島で作っている豆ややドラゴンフルーツを使ったジャムに落ち着いた。

 その後毎年本島で開催される離島フェアに出品するなどして地域のブランド品になりかけたのだけれど、やがて月日が流れ生産者がいなくなり、残念なことに特産品作りそのものが立ち消えになってしまった。

 野菜その他のモノ生りがいい水納島のポテンシャルは高いと思うのだけれど、生産者不在ではいかんともしがたいという過疎地のゲンジツがある。

 水納島に越してくる前、まだ一旅行者として訪れていた頃はいつも、何かお土産が売られていればなあと思っていたこともあって、島に越してきてダイビングサービスを始めてからは、まずはポストカードを作り、その後オリジナルTシャツ、貝殻細工、そしてとんぼ玉と種類を増やしていき、“海と島の雑貨屋さん”というお土産屋さんをオープンするに至った。

 コンセプトは「水納島オリジナル」と「なるべくかさばらないもの」だ。

 だんなと2人で制作するので数も種類も限られるし、そもそもダイビングシーズンにはなかなか店舗をオープンできないのが玉に瑕ながら、島を訪れるみなさんに「旅の思い出にひとつ…」と手に取ってもらえるものをできるだけ用意しようと思っている。

 もっとも、11月から3月のオフシーズンは、民宿を除く島内の各店舗は完全にクローズしている水納島。

 すがるように「何か食べるものは置いていますか?」と尋ねてくる空腹を抱えた日帰りのお客さんたちは、そんな土産物よりも何よりも、一杯の沖縄そばをこそ求めているだろうけれど…。