水納島の野鳥たち

アカハラ

全長 25cmほど

 シロハラにそっくりなアカハラは、そっくりながらも特徴的なお腹の色合いのおかげで、両者の違いは一目瞭然。

 見た目はそっくりだけど、アカハラはシロハラとは違い、1年を通じて日本にいる留鳥として知られているらしい。

 ところが沖縄には、シロハラと同じく冬にやってきて春まで滞在する冬鳥だ。

 ただしその数は少なく、水納島では長い間姿を目にしたことがなかった。

 2018年から2019年のオフシーズンも、3月になるまでその姿を見かけることはなかったのだけど、3月末になって初登場。

 当初はシロハラかと思いつつ遠目から撮ってみたところ、このお腹の赤茶色はアカハラ以外のナニモノでもない。

 冬の間一度も見なかったのに3月にいたってことは、どこかから北へ帰る道のりの途中で羽休めということだったのだろう。

 シロハラと違って開けた野が好みらしく、前日タツヤさんが草刈りをしたばかりのBBQ会場近くの草地で、楽し気に餌をさがしていた。

 島に越してきてから25年目にして初アカハラ。

 ファーストコンタクトを果たした2019年以降は、ほぼ毎年コンスタントに1~2度会えていることを考え合わせると、実はそれ以前にも渡ってきていたのに気づいていなかっただけかもしれない。

 水納島に滞在中のアカハラは、学校のグランドや未舗装路上で見かけることが多いけれど、珍しく樹上にいる姿を目にしたこともある。

 視線の先には、赤いクワの実が。

 2022年1月のことで、当時はもう島の露地栽培の耕作地が激減していたから、「開けた平地」を失ったアカハラたちは食料危機になり、やむなく樹上で木の実を求めているのだろうか。

 アカハラとしても、背に腹は代えられないということかもしれない。

 もっとも、アカハラが背に腹を代えたら「アカセナカ」になっちゃうけど…。

 クワの実はまだせいぜい赤くなっている程度で、熟しているものはまったく見当たらないんだけど、よほど空腹なのか…

 …赤い実をしっかりゲットしたアカハラ。

 木の実を食べる他の鳥たちに比べると、ひとつの実をゲットするまでの動作がかなりどんくさく、苦労して熟れていない実を…。

 熟れていないほうが好きなのか、地上専門だけにクワの実の食べ頃を知らないのかは不明ながら、ドタバタしつつも望みどおりクワの実を食べることができて、たいそう満足気なアカハラ君であった。