水納島の野鳥たち

アマサギ

全長 50cmほど

 2020年の春、そろそろ梅雨になりそうな雨が続いていた4月下旬のこと。

 家からすぐ近くのリョウセイさんの畑の脇に、雨の下で見慣れない鳥がポツンと佇んでいた。

 アマサギだ。

 身の丈50cmほどというと、タンチョウやコウノトリと比べれば遥かに小さいけれど、小さな島の未舗装路にポツンといると、やたらと存在感がある大きさだ。

 水納島では初見ながら、この3年前に喜如嘉の田んぼで一度出会っていたから、正体はすぐにわかった。


@喜如嘉ターブク

 当時はいいお天気だったからアマサギたちも濡れそぼちておらず、髪型(?)がヤンチャなヤンキーのようになっていた。

 アマサギという名前だから、てっきり甘いマスクのナンパな鳥なのかと思いきや、アマサギの「アマ」は「甘」じゃなくて、

 ~♪亜麻色の 長い髪を 風が優しく包む…

 の「亜麻」サギだったのか…

 …と納得していたところ、「甘」でも「亜麻」でもなく、「飴色」のアメが転訛してアマになった、という説もあるそうな。

 飴鷺より亜麻鷺のほうが、ずっとブンガク的だけどなぁ…。

 喜如嘉には団体さんで滞在していたアマサギたちながら、水納島にはあいにくこの1羽きりで、しかも梅雨の雨で濡れそぼちているものだから、かなりバーコードなオールバックおじさんになっていた。

 畑の脇の路上にいる鳥に同じ路上から近づけば、物理的な意味で「物見高い」アマサギはたちまち逃げ去ってしまうはず。

 ところが我が家からすぐ(といっても50mほど)のところにいたこのアマサギは、台所の窓からハイビスカスの垣根の隙間越しに観ることができた。

 おかげで雨中にもかかわらず雨に濡れることもなしに、文字どおり垣間見させてもらっていると、アマサギは地面を凝視しては嘴でつつき、何かを啄む動作を繰り返していた。

 雨に浮かれてゾワゾワ出てきたカタツムリでも食べているんだろうか。

 何をゲットしていたのか、とりあえず満足そうなアマサギだった。