水納島の野鳥たち

クロサギ

全長 60cmほど

 各地で温泉発見伝説にも登場する「白鷺」は、特に鳥好きではない方にもよく知られている。

 ただし「シラサギ」という種類の鳥がいるわけではなく、白系のサギの総称である…

 …ということを知ったのは、オトナになってからのことだった。

 水納島に越してきた頃には、すでに白鷺には何種類もいるということも知っていたのだけど、マックスサイズのダイサギも含め、白鷺たちはみんな通年いる「留鳥」だとばかり思っていた。

 ところがダイサギやチュウサギといった白鷺系や、その他色味がついているものも含め、ほとんどは沖縄県内では冬鳥なのである…

 …ということを知ったのは、恥ずかしながら50を過ぎてからのことだったりする。

 なんでいつでも観られるような気になっていたのだろう?

 その答えはクロサギにあった。

 多くのサギ類が県内では冬鳥なのに対し、クロサギは留鳥で、夏場の水納島でもフツーに海辺で観られるのだ。

 黒サギだったら「白鷺」じゃないんじゃ?

 ところが困ったことに、南方に行けば行くほどクロサギは白い個体率が高くなるそうで、琉球列島では白黒どちらも見られる。

 というか、水納島で観ているかぎりでは、圧倒的に「白いクロサギ」のほうが多い気がする。

 白いのにクロサギだなんて、そりゃまったくのサギではないか。

 < サギですが?

 ややこしいことにクロサギはクチバシの色も個体ごとに違っているそうで、黄色いからとかくすんだ色だからという色の違いはなんの特徴にもならないようだ。

 夏場でもよく見かけるのは、はたしてクロサギなのか?

 聞くところによると、海辺でポツンと単独でいれば、ほぼほぼこのクロサギなのだとか。

 であれば、上の子もクロサギだろうし、↓この子もきっとクロサギに違いない。

 …といいつつ、↑これは12月に撮ったもので、ワタシが知っているクロサギとは佇み方がいまひとつ異なるような気もするので自信がないのだけれど、少なくともシーズン中に島の朝夕に海辺で観られる白鷺は、クロサギと思ってほぼ間違いないだろう。

 だからといってクロサギは海辺にばかりいるわけではなく、ダイサギ(チュウダイサギ?)が島に滞在している冬場などでは、虎の威を借る狐状態になって、ダイサギにつきまとっておこぼれを頂戴していたりもする。

 威を借りているからだろうか、普段よりイキっているようにも見える…。

 海辺で黒いのと白いのが行動を共にしているのを見かけたことも何度かあるものの、出会う頻度は白いタイプが多く、カメラを携えている時となると、黒いクロサギに出会う機会は滅多にない。

 冒頭の写真は、(個人的に)とても貴重な1枚なのである。

 ということに気がついたのは後年のことで、撮っている際は意識していなかったから、別カットがただの1枚もなかったりする…。