水納島の野鳥たち

ミヤマホオジロ

全長 12cmほど

 2022年の春は、それまで観たことがなかった、もしくは撮ったことがなかった鳥さんたちとの遭遇頻度が例年に比べてやたらと高かった。

 狂乱不動産バブルのせいで県内のあちこちで羽休め場所を奪われた鳥さんたちが、避難場所として水納島にたどり着いていたのだろうか。

 ミヤマホオジロとの初遭遇も、2022年3月末のことだった。

 カモメ岩の浜まで散歩した帰り道、進行方向の路上、それも眼前10m以内に見えたその姿は、ひと目で初見とわかるほどの特徴が。

 スズメサイズの野鳥といえば、どれも似たようなものが多いために撮った写真と図鑑を見比べでもしなければ見分けられないことも多いのに、このキレンジャーのような顔のおかげで、記憶だけですぐさま正体が判明した。

 ミヤマホオジロはこの前年に初遭遇(初認識)したカシラダカの親戚だそうで、たしかに髪型(?)がそっくりだ。

 図鑑の解説によると、藪のなかにいることが多いために、姿を観る機会は少ないのだとか。

 このように未舗装路上に舞い降りているなんてのは、かなりラッキーなことだったのか…

 …と思いかけたものの、同じ図鑑では、観られる場所として河原や水田、農耕地など、ともあったから、開けた平地もエサ場にしているようだ。

 それにしても、こんな鳥さんがいるとは知らずにテケテケ歩いてきたというのに、うっかり接近してしまった我々の姿を認めてもたちまち逃げてしまわずに、その後もエサを啄んでいたミヤマホオジロ。

 ヒトの危険性をまったく知らない浮世離れした鳥さんだからだろうか。

 それとも過疎化が進んでいる島では、ヒトに危険性無しと高をくくられているのだろうか。

 理由はさておき、そのおかげでエサを啄む様子も観ることができた。

 ↑このように地面の何かを啄んだり…

 …イネ科の草のタネを食べているらしい。

 写真だけ見るとのどかなお食事タイム…に見えるけれど、実はこの日は連絡船が楽勝で欠航するほどの強風の日でもあった。

 その風がちょうどこの路上に沿って吹きつけているものだから、路上をトコトコ…と歩いているミヤマホオジロにも容赦なく襲い掛かる。

 するとミヤマホオジロは…

 風に煽られ、ヨタヨタ…とズッコケていた。

 もともと冠羽状態になっている頭部が風に吹かれ、なかなかのパンクファッションになっているのが面白い。

 このヨタヨタをたまたま動画でも撮っていた。

 動画開始後4秒あたりから、束の間ヨタヨタします。

 動画の最後でミヤマホオジロが飛び去った方面に歩いていくと、姿形は似ているものの、キレンジャー顔ではない鳥がいた。

 これはカシラダカかな…

 …と思ったのだけど、後刻調べたところによると、キレンジャー顔なのはオスの特徴で、ミヤマホオジロのメスはオスに比べて顔の模様が淡くなるらしい。

 ひょっとしたらこのとき目にしたのはカシラダカではなく、ミヤマホオジロのメスだったのかもしれない(残念ながら撮るチャンスは逃した)。