エビカニ倶楽部

フトユビシャコ

体長 5cm

 この冬(2023年1月)干潮時にタイドプールで観られるヤドカリさんサーチをしていたところ、同じような潮溜まりに住むシャコにも出会った。

 とはいえ表に出ている小さなシャコの仲間はすぐさまピュッ!と逃げてしまうから、タイドプール散策でもダイビング中でも、その姿をじっくり拝む機会がなかなかない。

 ところがこの時出会ったシャコがいた潮溜まりは、石ころがローリングストーンになって岩を穿った窪みにいて、他に逃げ隠れできる場所がまったくなかったからだろう、当初こそシュシュシュシュ動いて逃げまどっていたものの、やがて諦めてジッと固まってしまった。

 恐怖に塗れているであろう彼には申し訳ないけれど、これはかなりの大チャンス。

 コンデジを潮溜まりに浸けて撮れば…

 体は陸に居ながらにして、水中写真の出来あがりだ。

 水中では目にとまった時点でシュッと逃げるシャコを、潮溜まりで撮れるだなんて…。

 赤いマークがカワイイ尾肢をパッと広げたまま静止しているあたり、相当緊張状態なのだろう。

 いや、ひょっとして、腕も触角鱗片もキュッと閉じ、尾のほうはパッと広げているってのは、つまり外敵に尾の先側を「頭部」と思わせる作戦なのだろうか?

 シャコがどんなフォルムか知らなければ、人間でさえ騙されそうだ。

 尻尾側を頭だと思ってそっちに襲い掛かる隙に、逆方向にピュッと逃げるためのカモフラージュなのかも。

 やるなぁ、シャコ。

 ところでこのシャコ君、いったい誰?

 尾肢の赤いマークが特徴的とはいえ、同じ種類でも全然色味が異なるものも多いシャコたちのこと、それがアテになる目印なのかどうか心もとないながらも、似たような画像が無いものか…とリサーチしてみたところ、どうやらこのシャコこそがザ・フトユビシャコであるっぽい。

 あくまでも「ぽい」ではあるけれど、ダイビング中にリーフ上などでシュシュシュ…とダッシュで逃げるシャコを目にしては、テキトーに「フトユビシャコ」認定してきたこれまでのことを思えば、ようやくザ・フトユビシャコにちゃんと会えたような気が…。