全長 10cm
インドカエルウオに見える魚はすべてインドカエルウオである、と長年信じてきたワタシにとって、ホソカワインドカエルウオという種類の存在を知ったときは衝撃ですらあった。
インドという、不思議さと凄さと広大さと怪しさをヒトコトで表す壮大な名前を冠している魚に、「細川」などという献名を頭にもってくるネーミングのセンス。
だったらいっそのことホソカワカエルウオでいいじゃん。
ま、インドカエルウオにそっくりだから、インドをはずすわけにもいかないのか…。
ホソカワ氏のほうが体に赤味があると図鑑的に説明はされているけれど、同時に見比べでもしないかぎり見分けるのは無理。
なのでホソカワ氏の存在は無かったこととして、すべてインドカエルウオで済ませてきたワタシである。
ところが両者を見比べずとも、写真判定なら容易に区別がつく特徴があることがわかった。
それは、目の上のアンテナ(?)。
インドカエルウオが糸状の突起であるのに対し、ホソカワ氏はちょっとばかし太い。
ここさえチェックできれば、両者を見分けることができるのだ。
もっともクラシカルアイでは、海中で観ている最中に判別するのは不可能。
かくなるうえは、さらにわかりやすい見分け方を。
水納島でフツーにファンダイビングする場合、水深10mよりも深いところで観られるものは、山田太郎在学時の明訓高校野球部の勝率と同じ確率で、ほぼホソカワインドカエルウオである。
アカデミズムのデータでもなんでもなく、単にワタシがホソカワ氏を認識できてからの経験値でしかないですけどね。
ところで、ホソカワインドカエルウオのチビターレも、インドカエルウオ同様キレンジャーになる子がいるのかどうかは知らない。
だって、キレンジャーの眼の上には……
…アンテナが無いんだもの。
判別不可能。
では黒いチビターレはどうかというと…
同じく判別不能なのだった。
※追記(2025年5月)
2023年夏のZターン台風は、海の中にも大きな爪痕を残しまくった。
まともに波が当たる側のリーフエッジはサンゴというサンゴが砕かれ、それまでサンゴの枝間を暮らしの場にしている魚たちにとっては楽園だった場所が、ことごとく様相を変えてしまった。
また、台風による怒涛の波濤でインリーフからリーフの外まで吹き飛ばされてきたためか、本来リーフの内側に多く生息しているアツクチスズメダイやインドカエルウオの姿が、リーフエッジ付近のサンゴにやたらと目につくようになった。
その点ホソカワインドカエルウオはもともとリーフエッジ付近でよく観られるギンポではあったけれど、暮らしの場にしているサンゴがかなりボロボロにされてしまったせいか、姿を露出させていることがグーンと増えた。
カメラを向けてもすぐにサッ…と枝間に逃げてしまうことが多いホソカワインドカエルウオながら、なにぶん露出頻度が高いおかげで、その全身を撮らせてもらえる機会が増えた。
こうして見てみると、そっくりなインドカエルウオに比べて胸ビレが黄色くて、体はやや赤っぽいんですかね、ホソカワ氏。