全長 5cm
今秋(2023年)も桟橋側の海が荒れている日には、カモメ岩の浜からエントリーしてリーフ内を探訪している。
10月最後の日はちょうど満潮時にエントリーしたので、干潮時にはいつも干出しているかせいぜい足首くらいまでの水深しかないあたりの水深1m未満の波打ち際を、アヤシゲに徘徊してみることにした。
干潮時にはとびきり浅くなるビーチロックや琉球石灰岩が形作る岩盤の合間合間にはところどころに砂溜まりがあり、他にいくらでも暮らせそうな場所があるというのに、わざわざそういうところを好む魚たちもいる。
色彩的にパッと目を引くものはそれほど居ないものの、サザナミハゼの小さいのが居たのでカメラで動きを追っていたところ…
…サザナミハゼ(手前)と似た雰囲気ながら、けっしてホバリングしない別のハゼの存在に気がついた。
カザリハゼ系っぽいけど、その仲間にこんな黄色っぽいものがいたっけか…。
たちまちサザナミハゼは過去の存在となり、新たに出現したこの黄色っぽいカザリハゼ系に注目したところ、背ビレの先の黄色い模様がかなり目立っていた。
マダラカザリハゼとかホシカザリハゼなど、既知のカザリハゼ系の浅いところバージョンなのだろうか?
後刻調べてみたらば、ビックリ魂消たモンザエモン。
なんとこのハゼこそが、これまで未見だったザ・カザリハゼだったのだ。
今年はレモンチョウに続き、またしても水深50cmの世界で人生初遭遇。
というか、マダラカザリハゼやホシカザリハゼは普段のボートダイビングでもたくさん出会えるというのに、同じ仲間のなかで最も美しいといっても差し支えないザ・カザリハゼは、よりにもよってこんな浅いところを好んで暮らしているとは…。
岩盤の合間の狭い砂溜まりには大小多数暮らしていて、砂底の何かを食べているようだ。
ずっと観ていると、背ビレの先だけではなく、顔周辺の黄色味もよく目立つザ・カザリハゼ。
胸ビレの白点模様も、この種類の特徴のひとつらしい。
タイドプールで磯遊びをするみなさんにはきっとお馴染みなんだろうけど、ダイバー、それもボートダイビングばかりしている方々には、カザリハゼはまったく無縁の存在かもしれない。
そういう意味では「レア」ともいえるザ・カザリハゼ、水深50cmほどの岸近くで這いつくばれば、たくさん出会えること請け合いです。