水納島の魚たち

ミズヒキミノカサゴ

全長 8cm(写真の個体)

 水納島の港側方向のリーフの沖は、どこも一様に砂底が広がる海底環境になっている。

 そこに根が点在し、それぞれに小魚が集まって、箱庭のような、もしくはオアシスのような環境を見せてくれる。

 でも同じような砂底環境に見えて、とあるポイントでは観られる魚の種類が他とくらべてずいぶん異なっていて、そこだけでしか観たことがない、もしくは他に比べてそこだけやたらと多い、ということがある。

 キリンミノは(水納島では)本来リーフの中に多く、リーフ外では出会う機会は少ないのだけれど、そのキリンミノもなぜだかそのポイントではフツーに出会える。

 それも、たいてい大きなオス1匹の周囲に1〜2匹の小ぶりなメスがおり、きっと初夏の日没後くらいに行けば、産卵の様子も観られるに違いない。

 梅雨時のある日(2026年)にそのポイントを訪れたところ、水深10mほどの根でいつものようにキリンミノを見たほか、水深20mほどの死サンゴ礫混じりの海底でもキリンミノの姿があった。

 オスっぽかったので、きっとその周囲にはメスもいるのだろう…と見渡してみたところ、そこにいたのはキリンミノではなかった。

 遠目に見たら「キリンミノね…」で済ませてしまったかもしれないところだけど、目の上から突き出た皮弁といい…

 胸ビレ鰭膜の水玉模様といい…

 キリンミノと比したボディの縞模様の複雑さといい…

 これはネッタイミノカサゴ

 …と断定していたことだろう、5年前なら。

 でも今のワタシは、上記リンク先で触れているように、さらにここにも注目する。

 特徴的な長く伸びた胸ビレの軟条…のはずがネッタイミノカサゴほど長くなく、そしてそこに褐色の縞々模様がある。

 上記リンク先を記した当時は、この軟条部分に縞模様があるとネッタイミノカサゴではない、というジジツを知ったばかりだったため、縞模様がどこまで明確に見えるものなのか見当がつかず、ネッタイミノカサゴですらホントにネッタイミノカサゴなのかと不安になってしまったものだった。

 でもここまでハッキリ縞模様があるとなれば、もう狼狽える必要はない。

 で、この縞模様があるカサゴは、その名もミズヒキミノカサゴという。

 世の中では2011年から知られている新顔だそうで(新種記載は2014年らしい)、その存在に初めて気がついた5年前、昔から撮ってきたネッタイミノカサゴ認定の写真を、フィルムを含めてすべてチェックしても、どこにも縞模様は見当たらなかった。

 その後ネッタイミノカサゴを見かけるたびに確認してはいたけれど、縞模様は見られず。

 それがついに、人生初遭遇!

 これまでにもシーズン中に出会っているのかもしれないけれど、ゲスト案内中は写真を撮らないし、ネッタイミノカサゴと案内したあと胸ビレをじっくり観ることなんて無いですからね…。

 というわけで、オガサワラカサゴに続き、今年2種類目の新登場カサゴとなったのだった。