水納島の魚たち

ニセモンツキスズメダイ

全長 6cm

 モンツキスズメダイを意識していなかったヒトが、このニセモンツキスズメダイを認識しているはずはない。

 ……などとエラそうに言っているワタシ自身、その名を知っていたような気がウスボンヤリとしてはいたものの、海の中でしっかり認識したのは2012年が初めてのことで、水納島でしか潜らなくなって17年が過ぎていた頃のことだった。

 ある日のこと、なにげに図鑑を見ていたら、このニセモンツキスズメダイに目が行った。

 説明を読んでみると、なるほど、本家モンツキよりは圧倒的に数が少ない、と書いてある。

 それほど数が少ないスズメダイなんて、おいそれとは見られないんだろうなぁ、今まで見たことがないのも当然だ。

 …と思いつつその掲載写真の撮影地を見てみると、

 「水納島」

 え??

 そのあとすぐさま海の中でチェックしてみたところ……

 ……いた。

 それもけっこうチラホラ目につく頻度で。

 なんだ、フツーにいるんじゃん。

 ってことは、これまでずっとモンツキスズメダイだと思っていたものの中には、ニセモンツキスズメダイも混じっていたんだろうか。

 と思いきや、過去に撮ったモンツキ認定の写真を見てみると、意外にもすべてモンツキスズメダイだった。

 どうやらリーフ際にいるものは、ほぼモンツキスズメダイと思って間違いないらしい。

 ではこのニセモンツキ君はどこにいるのか。

 それはもう少し深いところだ。

 砂地のポイントなら、水深20m前後に点在している根の沖側といったあたり。

 気にし始めると、そこにもあそこにもやたらとニセモンツキスズメダイがいる。

 出会う頻度的には、まったくモンツキスズメダイに見劣りしないくらいに…。

 もっとも、モンツキスズメダイとニセモンツキスズメダイとの見分けがつかなかったら話が始まらない。

 モンツキとニセモンツキを見分けるには、両者の尾ビレを見比べれば一目瞭然。

 尾ビレの後端に黒い縁取りがあるほうが、ニセモンツキスズメダイ。

 これでもう、どっちなのかわからなくなる心配はない。

 追記(2021年11月)

 その後モンツキとニセモンツキをしっかり見分けながらお付き合いしているうちに、オトナはそっくりながら、どうやら両者のチビたちはひと目で区別がつくほどに異なって見えることがわかってきた。

 モンツキスズメダイのチビターレは↓こんな感じなのに対し…

 ニセモンツキスズメダイのチビはというと…

 小さい頃からけっこう渋めの色をしているのだ。

 モンツキスズメダイのチビに比べ、深いところの根にいるから周辺の暗い感じに合わせているのだろうか。