写真・文/植田正恵 |
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142.時間短縮とシアワセの関係 月刊アクアネット2015年3月号 |
この冬、実家に帰省するついでに金沢へ旅してきた。
埼玉県入間市の実家から金沢に行く場合、電車であれ飛行機であれ、いったん東京に戻ってから金沢を目指したほうが時間的には圧倒的に早い。 いやあ日本って広いですなぁなんて感心していたら、今春3月14日から北陸新幹線が開通し、東京から2時間半で金沢に行けるようになるという。
沖縄本島北部に位置する水納島まで那覇空港から来ようとする場合、一般的には陸路を北上して本部半島の先にある渡久地港まで移動しなければならない。 ただし高速バスは1時間に1本ほどの運行、路線バスもまた同様程度の本数しかなくて時間の融通が利かないうえに、合計3時間以上かかるのが難点だ。
空港から、もしくは名護からタクシーに乗れば時間は節約できるけれど高くつく。
どの方法で北上するにしても、連絡船の最終便を逃すとその日のうちには水納島にたどり着けないことになる。 わざわざ那覇空港からえっちらおっちら北上してきてくださる当店ゲストの皆様は、よくもまぁ毎年お越しになってくださるなぁ…と今さらながら感謝したくなるくらいの不便さだ。
東京からの時間が短縮されると、まるで世の中すべての人が便利になるかのように騒がれるけれど、沖縄でもそれは同様だ。 そりゃたしかに時間が短縮されれば便利ではあるだろう。
水納島が水納島でいられるのは、不便であるからこそなのである。 |