写真・文/植田正恵

36.柳の下に泥鰌は何匹?
月刊アクアネット2006年5月号

 最近沖縄本島では、まるで分裂増殖し続けるアメーバのようなコンビニの開店ラッシュ状態になっている。近所にようやく初コンビニができたとヨロコビ騒いでいた学生の頃がウソのようなコンビニ密度である。
 こんなに多くては共倒れになるのではないか、と他人事ながら心配になってくる。

 昔から沖縄では、コンビニに限らず何か一つのものが流行るとすぐさま誰かがマネをして…ということがよくある。大型書店やホームセンターなど、なにゆえわざわざ近隣に店を出すのだろうかと不思議に思えて仕方がない。
 そして流行り廃りに左右されるものは、あっという間に共倒れになったりもする。
学生時代、ものすごい勢いでプールバーがボコボコできたと思ったら、あっという間にほとんど姿を消してしまったこともあった。
 沖縄観光ではずせない那覇の公設市場なんて、肉屋、魚屋、乾物屋など、はじめて行く人間にとっては同じようにしか見えないものすごい数の店舗が、ギッシリ隣り合って並んでいる。それでもつぶれることなく各店舗がやっていけるのがまた不思議だ。

 水納島のような小さな島でもまた然り。
 まず、夏のビーチには欠かせない海の家。一軒できたと思ったら次々に海の家が出来、挙句の果てには島外から業者がやって来る始末。それぞれが特長を生かして他と違うことをすればいいものを、上手くいっていると見るやたちどころにマネをするから面白い。

 畑で作る野菜の種類にも同じことがいえる。
 ある年はものすごくインゲン豆が流行って、どこのお家でもインゲン豆を作っていた。どうやら言い出しっぺ(やりだしっぺ?)がいるようで、そこがうまくいくと瞬く間に伝染病のように広がっていくのだ。
 そしてなぜかピタッと誰も作らなくなってしまう。
 インゲン豆はたしかに美味しいけれど、各家庭が作ると、「いつでもどこでも肴はインゲン豆状態」になってしまって、さすがにみんなグッタリしたからであるのはいうまでもない。

 とにかく、それがスイカであれミジュンであれマガキガイであれ、誰かが面白おかしくやって上手くいくと、みんな「私もやってみようかねー」という感覚になるのである。
 だからといってそれがイヤかというとそうではなく、みんなが同じことをやるので、同じ話題で盛り上がれて面白いという副産物もある。

 収穫や漁獲はともかく、こと商売上の利益を考えるなら、我がナイチャー(本土の人間のこと)頭では、なるべく人と違うことをやろうとし、同じことをするならば似たようなものが他にない場所を選んで、と考えてしまう。
 ところが沖縄の場合、あそこはこんなことしてうまくいってるみたいよー、じゃあ私もやってみようかね、と考えることから始まるから、あっという間に同じことが流行り、それなりにみな上手くいく。柳の下の泥鰌はいつもいて、2匹目、3匹目どころか、水産の利は無尽蔵的にわんさかいるらしい。

 それもこれも、みんなバイタリテイーがあるからこそなのだろう。
 二の足を踏む前にまずやってみる。それが全面的にいいこととは言わないけれど、「ダメだったらまた違うことをやればいいさー」の精神は、あれこれ考えて結局何もやらないってことに比べればよっぽど素敵だと思う。