23・エピローグ

 翌朝は夜明け前の出立なので、夜のうちに市街も見納めしておくことにした。

 毎晩のように眺めてきた高知城は、今夜も美しくライトアップされている(午後10時20分だったけど…)。

 そしてはりまや橋(復元)も、今日も多くの初高知観光客をガッカリさせつつ(ワタシはガッカリしてませんから)、今宵も気高く朱色のアーチを描いていた。

 そして本日のシメはこちら。

 ひまわり乳業と高知アイスのコラボ作品、リープルアイス。

 十刻の大将もやはり、リープルは「甘過ぎ!」とのことだったけれど、滞在中毎朝リープルを飲んでいたワタシにとって、旅の終わりにふさわしいシメである。

 それにしても、方向性にはいささか偏りがあるとはいえ、飲んで食ったぜ高知県。

 おかげで舌も胃袋も大満足の日々だった。

 そんな旅行者的目線だからということもあるだろうけど、高知県はとにかく誰も彼もが楽しそうなのがなんともステキだ。

 日中はそこかしこの日当たりのいい場所でおとっつぁんたちがゆんたくしているかと思えば、夜の街を歩いていると、年配のおんちゃん二人がゴキゲンそうに互いに腕を取りながら歩いていた。

 真冬だというのにこのノリなら、夏にはどんなことになってるんだろう??

 また、その楽しい気分を分かち合おうとしてくれるからか、みんなが一様に親切で、一つのことを訊ねると十ほど教えてくれるということを、滞在中に何度も味わった。

 街で見かけるゴキゲンそうな様子や、訊ねたことに力の限り答えようとする姿に接していると、なんだかシチリアで感じた雰囲気にとっても似ている高知県。

 我々が今回満喫させてもらった海幸をはじめ、食文化を誇りにしているあたりもそっくりだ。

 実際に暮らしてみれば、そういいことばかりってわけではないのかもしれない。

 とはいえ「実際は」なんて話はどこで暮らそうともあるもので、ともかくも人を呼ぼうとするからには、観光客にとって素敵に見えなきゃしょうがない。

 その点高知県は、近年の観光アピール「高知家」をホントに体感できる素晴らしい土地だった。

 和歌子ねーさんのおっしゃるとおり!

 たとえこの日本から沖縄が消滅してしまったとしても、なお暮らしていけそうな土地をついに見つけた………気がする。

 「たっすいがは、いかん!」というだけあって、ホントに濃い濃い日々だった。

 充分堪能した気でいるものの、まだまだ寄ってみたいところ食べてみたいモノがたくさんある高知県。
 東側半分はまったく未踏だし、柏島でダイビングという手もある。

 南国土佐をあとにして、ああ、またひとつ、再訪したい土地が増えてしまった……。