水納島の魚たち

セレベスゴチ

全長 20cmくらい?

 最初に断っておかねばならないことがひとつ。

 クロシマゴチの稿でも触れたように、コチの仲間は近縁の種類同士でやたらと似たものが多いため、シロウトが写真だけで同定できるものではない。

 そのためここでセレベスゴチなどと大見えを切って紹介しようとしているコチも、ホントにセレベスゴチなのかどうか、まったく自信がない。

 なにしろクロシマゴチのつもりで撮っていたくらいなのだから。

 しかも5年も前のことなので(2014年6月)、このコチのサイズがどれほどだったか、まったく記憶がない。

 一応全身を納めた写真もあるにはある。

 クロシマゴチ同様、武張った頭部から続く体は細身だ。

 斜め前から観るとこんな感じ。

 傍にある海藻に比して、だいたい20cmくらいじゃなかろうかと思うのだけど、なにしろ記憶にないモノだからサイズなど覚えていようはずはなし。

 でも写真に撮っておいたおかげで、重要な比較対象パーツを見比べることができる。

 それはこのコチのお目目。

 見比べやすくするために、クロシマゴチ(と思っているコチ)の眼↓もご覧ください。

 この場合、瞳の上下にあるヒダヒダのうち、上側のヒダヒダは無視していいらしく、注目すべきは下側のヒダヒダ。

 クロシマゴチ(と思っているコチ)はヒダヒダの山がふたつあるのに対し、セレベスゴチ(かもしれないコチ)の眼の下側のヒダは、山がひとつ。

 これを変態社会では「単峰型」というらしいのだけど、ここが単峰型ならセレベスゴチ、という見分け方もあるそうなのだ。

 ただしセレベスゴチの眼の上には皮弁があるそうで、それさえあれば決定的だったところながら、写真を見るかぎりではそれらしきものは見当たらない。

 はたしてこのコチ、ホントにセレベスゴチなんでしょうか。

 それとも目が変なクロシマゴチなんでしょうか。

 はたまたどちらでもないコチなんでしょうか。

 ちなみにセレベスゴチは、日本では伊豆をはじめとする温帯域の海でお馴染みのコチで、分布域的には居てもおかしくなさそうな沖縄では、局地的にしか報告されていないような気配がある。

 これがホントにセレベスゴチなら、その「局地」に水納島も仲間入りだ。

 実はクロシマゴチだったら、「うっかり八兵衛」にワタシも仲間入りだ。