●海と島の雑貨屋さん●

ゆんたく!島暮らし

写真・文/植田正恵

276回.怒!漂着ペットボトル

月刊アクアネット2026年5月号

 ペットボトルは便利である。

 炭酸飲料の内圧にも負けない強靭なボディ、それでいながら同容量のガラス瓶の1/7~1/10ほどと軽いウェイト、そして開閉自在のネジ式のキャップと、飲料としての利用の便利さ以前に容器として優れているので、私は自家製のポン酢や焼き肉のたれ、ドレッシング、そしてコーレーグースや柑橘果汁100%ドリンクの容器として活躍してもらっている。

 しかし、その安価で便利であることが仇となって、大量のペットボトルのゴミという、新たな問題が出来している。

 過疎化著しい水納島は、冬の間は港の工事さえなければひっそり静まり返っているかのように静かだけれど、ひとたびシーズンが開幕すると、少なくとも日中は大勢の日帰り客や業者さんたちが訪れてずいぶん賑やかになる。

 ただ、それとともに増えてしまうのが、ポイ捨てゴミだ。海を求めて遊びに来るということはすなわち、多かれ少なかれ自然を求めて来ているのだろうに、こういう場所で平気でポイ捨てできるというのは、まったくどういう神経をしているのだろう。

 ポイ捨てされるゴミにはいろいろあるけれど、タバコの吸い殻や空き缶とともに、ペットボトルは島内ポイ捨て三大トリオを形成している。

 島内随所でゴミが増えてくるのはシーズン中のことだけながら、島の周りのゴミとなるとそうはいかない。小さな島とはいえ周りがすべて海だから、海の向こうから押し寄せてくる海洋ゴミの量は半端ではない。海水浴場エリアについては、毎年業者さんを中心にシーズン初めになんとか清掃しているものの、島全体となるととてもじゃないけど手が回らず、少し海岸を歩くと様々なゴミが、とりわけ各種ペットボトルを相当数目にすることとなる。

 もちろん日本製のものもあるけれど、それらが全体に占める割合はおよそ3割ほどで、ラベルを見るかぎり他はすべて近隣諸外国製だ。名も知らぬ島から流れてくるヤシの実も、今ではゴミに埋もれるほどになってしまっている。

シーズン中は毎朝業者さんたちの手によって清掃されているビーチも、オフシーズンにはこのとおり。漂着ゴミのほとんどを占めるペットボトル、ボロボロになったラベルを見てみれば、その7割方は近隣諸外国産だ。ホルムズ海峡がえらいことになっている現在、アジア各国でも相当な石油危機だろうから、この機会に『ペットボトル500本につきガソリン1リットルと交換』ということにしてくれれば、日本の海岸に流れ着くペットボトルもずいぶん減るんじゃなかろうか…。

 海洋プラスチックゴミの脅威が声高に叫ばれるようになって久しく、日本ではその対策の一環として、ペットボトルの再生に積極的に取り組んでいるという。

 その努力の甲斐あってか、米国では20%ほど、欧州では40%ほどというペットボトルのリサイクル率に対し、日本は85%と世界トップレベルなのだとか。ただ、お隣の韓国や台湾でも日本に近いレベルの数字だそうなのだけれど、島の海岸で見られる漂着ペットボトルのほとんどが、中国語&ハングル語というのはどういうわけなのだろう…。

 海岸を埋め尽くすほどの漂着ゴミの対策は、国交省や環境省が一応何かやっているフリを見せつつも、実際には各市町村レベルがほとんどと思われる。そして自然海岸が残っているところ=過疎地域という図式が成り立つものだから、行政としては多くの場合ボランティアに頼らざるを得ない。

 ビーチクリーンアップ活動にボランティアで参加される方も多く、率先してクリーンアップ活動を主催する方々も各地にいらっしゃるとはいえ、それでもやはり多勢に無勢、回収量よりも漂着量のほうが上回っているとあっては、まったくもって手は足りない。

 いっそのこと、「国会議員に立候補するためには5年間のビーチクリーニング活動参加が必須」なんてことにできないものだろうか。国防国防と声高に叫んで増税する前に、まず自らの手で水際での防衛に励んでもらいたいものである…。